これまでのキャリアと社長就任後のリアル

──まずは、これまでのご経歴を教えてください。

私が東急イーライフデザインに着任したのは2024年4月で、約2年になります。
東急不動産に入社以来、30年以上にわたりグループ内で経験を積んできました。特にリゾート事業に長く携わり、運営や開発に27年間従事してきました。
その後、当時の東急スポーツオアシスに3年間在籍し、健康領域の事業にも関わっています。

リゾート領域からヘルスケア領域への転身は大きな変化でしたが、新たな視点で事業に向き合う機会にもなりました。
現在も学びを重ねながら、これまでの経験を活かして事業の発展に尽力しています。

──社長に就任されてからこれまでを振り返ると、どのような半年間でしたか?

社長に就任してからの半年間を振り返ると、率直に「あっという間だった」というのが実感です。
着任以降、一般管理部門を中心に経営全般や中期経営計画の策定に関わってきましたが、2025年10月からは自らが先頭に立って実行していく立場となりました。
当社の進むべき方向性は明確であり、これまで長く運営の現場に携わってきた経験から、組織をいかに導き、どのように成長させていくかというイメージは持っていました
一方で、社長という立場になったことで、できることの幅が広がり、果たすべき責任や義務の重さも大きく増したと感じています。
そうした緊張感の中で走り続けてきた結果、非常に濃密な半年になったと実感しています。

「私らしくを、いつまでも。」を軸にした中期経営計画

──中期経営計画の概要と、そこに込めた考えや重点テーマについて教えてください。

当社の中期経営計画は、事業ステートメントである「私らしくを、いつまでも。」を軸に据えています。
これは、ご入居者・ご利用者に対して、できないことを支援するのではなく、ご自身でできることを一日でも長く続けていただく「自立支援」を重視し、その結果シニアの皆様の生活の質(QOL)を高めていくという考え方です。

そのうえで私たちが目指しているのは、【ES(従業員満足)】、【CS(顧客満足)】、そして【社会への貢献】がバランスよく成長していく企業です。
どれか一つではなく、すべてが相互に高まり合うことでブランド価値が向上し、信頼や利益につながると捉えています。

中でも特に注力していきたいのがES、すなわち従業員満足です。社員が安心して前向きに働ける環境があってこそ、ご入居者・ご利用者に対して質の高いサービスを提供できます。
働く人がいきいきとしていなければ、良いサービスは生まれません。「私らしくを、いつまでも。」というステートメントはご入居者・ご利用者だけでなく、社員にも向けた想いが込められていると考えています。
そのため、社員が自分らしく働き続けられる環境を整えることは経営の重要な責任です。権限を持つ立場である以上、働く環境を守る義務も同時に果たしていく必要があります。

また、地域とのつながりも重要な要素です。東急ブランドへの信頼に甘えることなく、サービスの質を通じて期待に応え続けることで、地域に根ざし、選ばれ続ける存在でありたいと考えています。

東急不動産ホールディングスグループにおけるシニア事業の役割と期待

──東急不動産ホールディングスグループの中で、御社はどのような役割を担っているのでしょうか。

東急不動産ホールディングスグループは、都市開発・住宅事業を中核に、商業施設、リゾート、物流施設、インフラ、ウェルネス事業など多岐にわたる事業を展開する総合不動産グループです。「美しい時代へ」を合言葉に、街づくりを通じて人々の暮らしと社会の持続的な発展に貢献しています。

当社は、東急不動産ホールディングスグループのウェルネス領域の中でも、シニアのご生活に寄り添った事業を担う存在です。
社会全体で高齢化が進む中、この領域の重要性は今後さらに高まっていくと考えています。グループ内においても、期待される役割は大きいと認識しています。

2003年の当社設立以降、これまでは開発投資の負担もあり、収益面で苦労してきた時期がありました。
現在、事業開始から20年以上が経ち、現在は居室数2,000室超、従業員約1,000名規模まで成長し、事業としての安定も見えてきました。

今は、これまで育ててきた事業を収益としてしっかり循環させ、グループに貢献していく段階です。
利益を生み出し、従業員への還元やサービスの質向上につなげる。その好循環を確立することで、グループの中でも確かな存在感を発揮していきたいと考えています。

成長から安定へ。現在地と次の成長に向けた取組

──中期経営計画を踏まえた現在の立ち位置について、どのように捉えていますか。

現在は、いわば「成長から安定への転換期」にあると捉えています。これまで約20年にわたり事業規模の拡大を進め、現在は居室数も2,000室を超えるまでになりました。
一方で、開業初期はコストが先行し、収支が安定しない時期もありました。

中期経営計画では、ES(従業員満足)、CS(顧客満足)、そして利益のバランスを整えながら、2025年度・2026年度の2年間で基盤を築くことを重視しています。
現状、数値面では安定が見え始めており、経営としては6〜7割程度まで進んできた感覚です。
一方で、特にESの面については、さらに高めていく余地があると認識しています。
現在は変化の過程にありますが、社員の皆さんに安心して働いていただける環境づくりに引き続き取り組んでいます。

また、これまで当社は「より良いサービスを提供したい」という思いから、人員やコストをかけてきましたが、その結果、収益と費用のバランスが取れていない側面もありました。
現在はそのバランスを適正に戻し、持続可能な経営への転換を進めています。
同時に、業績の改善に伴い、特別賞与や福利厚生の充実といった形で還元も行っています。
現場の声をアンケートなどで吸い上げ、課題解決に役員自らが取組むなど、「経営と現場がともに汗をかく」サイクルも動き始めています。
今後は私自身が各住宅にも足を運び、現場のスタッフと直接対話を重ねながら、社員の皆さんが納得感を持って変革できる状態をつくっていきたいと考えています。

2026年度は「土台づくり」の総仕上げ

──2026年度の展望や今後取組む内容を教えてください。

2026年度は、「土台づくり」の総仕上げとなる重要な一年です。
どのような事業を広げるかという前に、まずは基盤を確実に整えることに注力していきます。

シニア向け住宅事業を中心としながら、周辺事業の拡充を進めていきます。おかげさまで、現在、居室の稼働率は90%を超え、ほぼ満室に近い水準まで来ています。
今後は、ご入居前からお客様と接点を持てるサービスにも力を入れていきます。
多くの方が「できる限り自宅で暮らし続けたい」と考える中で、その期間を支えながら、いざという時に「安心できる住まい」として当社の住宅を選んでいただける関係性を築いていくことが重要です。

また、組織づくりでは、ES・CS・利益のバランスを保ちながら、特にESの向上に取組みます。そのために各責任者に伝えているのが、4つのステップです。

まずは「話しやすい職場環境」をつくること
次に、日々の小さな変化に気づく感度を高め、その背景や先を考える力を養うこと。
そして、気づいたことを適切な相手に正確に伝える力を身につけること
最後に、組織として課題を解決する力を磨いていくことです。

シニア向けの運営事業は、何か一つの施策で劇的に変わるものではありません。地道な積み重ねこそが、サービスの質や信頼につながります。
だからこそ、一つひとつを丁寧にやり切ることを全社で徹底していきます。

「働きたい会社」を自分たちでつくる組織へ

──今後どのような会社を目指していきたいですか?

私としては、「働きたい会社」「働きがいのある会社」であり続けたいと考えています。
社員一人ひとりが「ここでずっと働きたい」「やめたくない」と思え、周りにも誇れる会社であること。それが理想の姿です。

ただし、その環境は会社が一方的に用意するものではなく、社員一人ひとりが主体的につくり上げていくものだと思います。
東急不動産ホールディングスグループには良い意味での安心感がありますが、「グループ・会社が何とかしてくれる」という受け身の姿勢ではなく、自分たちの手でより良い会社をつくっていく意識が大切です。

社員の皆さんには、仕事に対する誇りを持ち、自分たちのサービスをより良くしていこうという意志・プライドを持って働いていただきたいと思います。
そのうえで、周囲や役員に対しても、違和感があれば遠慮なく伝えられ、それを受けた役員や経営側が真摯に受け止め、改善していく。
そうした関係性のもとで、社員と経営が一体となり、お互いに高め合いながら同じ方向に進んでいく組織を目指しています。
※本記事に掲載されている情報は、2026年3月24日時点の情報です。

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