高齢者が器具を使わない筋トレを行う必要性
器具が使わない場合は、自宅でも安全に始められるため、高齢者でも取り入れやすく、生活の質を維持する大きな助けとなります。
ここからは、高齢者が筋トレを行う効果について解説していきます。
転倒の予防
転倒による骨折は、その後の寝たきりや介護生活につながる大きな要因です。そこで重要になるのが、下半身や体幹を鍛える器具を使わない筋トレです。
スクワットやかかと上げなどのシンプルな運動でも、脚力が強化され、歩行時の安定性が高まります。
また、万が一バランスを崩した際にも、とっさに体を支えやすくなるため、転倒リスクを大幅に下げることが可能です。日々の習慣に取り入れることで、「安心して歩ける身体づくり」に直結します。
生活習慣病の予防・改善
筋トレは、こうした生活習慣病の予防・改善に効果が期待できます。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、余分な体脂肪を減らしやすくなります。
また、インスリンの働きが良くなることで血糖値の安定や血圧の改善も期待できます。さらに、日常的に体を動かす習慣を持つことで心肺機能が高まり、健康寿命を延ばす助けになります。
生活習慣病は自覚症状が乏しいため、毎日のちょっとした筋トレが「予防の第一歩」となるのです。
腰痛や関節痛の予防
例えばスクワットは太ももやお尻の筋肉を鍛え、腰の安定性を高める効果的な運動です。さらにストレッチを組み合わせることで柔軟性が増し、関節の可動域が広がります。
筋肉で体を守ることは、腰痛や関節痛の予防に直結し、快適に動ける身体づくりに役立ちます。
骨粗しょう症の予防
筋トレは、骨粗しょう症の予防に役立ちます。筋肉を動かすことで骨に適度な刺激が加わり、骨の形成が促されて骨密度の維持・向上につながるためです。
さらに、下半身の筋肉を鍛えることで転倒リスクそのものを減らせるので、骨折の二重の予防効果が期待できます。
日光を浴びることで得られるビタミンDやカルシウムの摂取とあわせ、日常的な筋トレを習慣化することが、骨粗しょう症対策において大切なポイントです。
高齢者におすすめの器具を使わない筋トレ5選
そのため、自宅でできる簡単な筋トレを習慣化することが大切です。ここでは、器具を使わずに取り組める高齢者におすすめの筋トレを5つご紹介します。
スクワット
これにより、立ち上がりや椅子への着座が楽になるほか、転倒予防や姿勢改善にもつながります。バランスに不安がある方は椅子を使って行うのも安心です。
スクワットのやり方
1.足を肩幅に開き、つま先を時計の「11時5分」に向けて立つ
2.背筋を伸ばし、両腕を前に伸ばす
3.お尻を斜め下へ引きながら、太ももが床と平行になる程度まで腰を下ろす(最初は浅い角度からスタート)
4.ゆっくりと元の姿勢に戻る(3~5秒かけると効果的)
5.1セット8~10回を目安に、慣れてきたら2~3セット繰り返す
ポイント
●膝をつま先より前に出さない・つま先と同じ方向に向ける
●背中を丸めない
●すねと背中が平行になるようにする
●呼吸を止めない
かかと上げ
むくみや冷えの解消、歩行の安定、転倒予防にも効果的です。椅子や壁に手を添えて行えば、安全に取り組めます。
かかと上げのやり方
1.足を肩幅に開いて立ち、つま先を正面に向ける
2.かかとを持ち上げ、つま先立ちで5秒キープ
3.ゆっくりとかかとを下ろす(床につけずに繰り返すと効果大)
4.10回を1セットとし、1日2~3セットを目安に行う
ポイント
座ったままでもできるので、体力に応じて調整可能です
お尻上げ
腰や下半身の筋力を維持し、歩行や立ち上がりをスムーズにする効果があります。寝ながらできるため、高齢者にも取り入れやすい運動です。
お尻上げのやり方
1.仰向けに寝て両膝を立て、足裏を床につける
2.両手は体の横に置き、手のひらを床につける
3.お尻を持ち上げ、肩から膝までが一直線になる位置で5秒キープ
4.ゆっくり下ろす
5.10回×2セットを目安に行う
ポイント
腰を反らしすぎないように行いましょう
片足立ち
毎日少しずつ継続することで、転倒防止や歩行の安定につながります。
片足立ちのやり方
1.壁や椅子の背もたれに手を添え、姿勢をまっすぐに保つ
2.片方の足を5~10cmほど浮かせ、30秒~1分キープ
3.足を下ろし、反対側も同様に行う
4.左右交互に2~3回繰り返す
ポイント
慣れてきたらキープ時間を延ばす、手を離すなど難易度を調整しましょう
足上げ
寝たまま行えるため、高齢者でも無理なく取り入れられ、下肢筋力の維持や歩行の安定に役立ちます。
足上げのやり方
1.仰向けに寝て片方の膝を曲げ、もう片方は伸ばす
2.伸ばした足をゆっくりと膝の高さまで上げる
3.5秒キープしたら、かかとを床につけずに下ろす
4.左右交互に10回ずつ行う
5.横向きに寝て足を上げ下げする方法も効果的
ポイント
腰に負担をかけないように、無理のない範囲で実践しましょう
効率の良い筋トレのポイント
特に高齢者の場合は、体への負担を抑えながら安全に筋肉を鍛える工夫が必要です。効率の良い筋トレのポイントは以下の5つです。
効率の良い筋トレを行う5つのポイント
1.ゆっくり動かす
2.鍛えている部位を意識する
3.筋トレを行うのは午後がおすすめ
4.ウォーキングも行う
5.食事に気をつける
ゆっくり動かす
勢いに任せて速く動かすと、筋肉への刺激が十分に伝わらず、効果が半減してしまいます。反対に、ゆっくり動かすことで軽い負荷でも筋肉をしっかり使えるため、高齢者でも安全に筋力を強化できます。
また、ゆっくり動かすと、関節や腰への負担を減らせるため、膝や腰に不安を抱える方にも適しています。さらに、正しいフォームを維持しやすく、ケガの予防にもつながります。
軽い運動でも「時間をかけて丁寧に行う」ことを意識するだけで、効率よく筋力アップを目指せるでしょう。
鍛えている部位を意識する
例えば、足の筋肉を鍛える場合には、太ももやふくらはぎがしっかり収縮している感覚を確認しましょう。筋肉に意識を集中させることで、他の部位に無駄な力が入らず、狙った筋肉に正しく負荷をかけられます。
また、フォームの正確さも重要です。鏡やスマートフォンのカメラで自分の姿勢を確認しながら行うと、背中や腰に余計な負担をかけずに安全に筋トレが可能です。さらに、筋肉の収縮を意識することで、軽い負荷でも効率よく筋力アップが期待でき、高齢者でも無理なく継続できます。
動作中は呼吸を止めず、自然に息を吐きながら力を入れ、吸いながら戻すと効果が高まります。これにより、筋肉により強い刺激が伝わり、トレーニングの効果を最大化できます。
筋トレを行うのは午後がおすすめ
特に高齢者の場合、朝は筋肉や関節が硬く、動作中に無理な力が入りやすいため、午後のトレーニングが安全で効果的です。
また、午後に運動することで交感神経が働き、筋肉の血流も増加するため、筋肉への酸素や栄養供給が改善され、成長や回復が促されます。さらに午後から夕方にかけて行うことで、就寝中の筋肉回復の効率も高まり、筋力アップにつながります。
もし日中のスケジュールが許すなら、午後2時から6時ごろを目安に筋トレを行うと、体の機能が最も高まった状態で運動でき、効果を最大限に引き出せます。
ウォーキングも行う
歩く際は、少し早めのペースとゆっくり歩くペースを交互に取り入れる「インターバルウォーキング」がおすすめです。これにより下半身の筋肉を刺激しながら、心肺機能も向上させられます。
また、ウォーキングは血流を促し、筋肉や関節の柔軟性を維持するのにも役立ちます。さらに、外を歩くことで気分転換やストレス解消にもなり、精神面での健康にも寄与します。
まずは一日1,500歩多く歩くことを目標に始め、慣れてきたら歩数や時間を少しずつ増やしていくと、無理なく体力や筋力を向上させられます。
食事に気をつける
特に高齢者の場合、筋肉をつくる材料となるタンパク質の摂取は欠かせません。肉・魚・卵・乳製品・大豆製品など、さまざまなタンパク源をバランスよく取り入れることが大切です。中でも魚肉タンパクはアミノ酸バランスに優れ、消化吸収が良く、脂肪が少ないため効率的に筋肉の材料として利用できます。
また、筋肉の成長をサポートするビタミンやミネラルも忘れずに摂ることが重要です。特にビタミンDやカルシウムは骨や筋肉の健康維持に欠かせず、日光浴や食品、サプリメントで補えます。野菜や果物、全粒穀物、良質な脂質などもバランスよく取り入れることで、栄養の偏りを防ぎながら、健康的に筋肉を増やすことが可能です。
高齢者の筋トレで気をつけること
そのため、無理なく安全に取り組むことが重要です。ここでは、高齢者が筋トレを行う際に意識したい基本的な注意点をまとめました。
無理をしない
初めは少なめの回数や軽い負荷で始め、慣れてきたら徐々に回数や強度を上げるのが理想です。
また、痛みや違和感があるときは無理せず中止し、休息を取ることも重要です。運動前にはストレッチやウォームアップを行い、筋肉や関節をほぐしてからトレーニングを始めると、安全性が高まります。日々の運動は、楽しみながら継続できるペースで行うことが最も効果的です。
持病がある場合はお医者さんに相談する
特に心臓疾患や高血圧、関節疾患などがある場合は、自己判断での筋トレは避け、医師の指示を受けて行うことが安心です。
また、運動中に体調の変化や痛みを感じた場合も、すぐに中止して相談しましょう。医療専門家の助言を得ることで、リスクを減らしながら効果的に筋力を維持できます。
空腹時は筋トレをしない
また、血糖値が下がりやすく、めまいや立ちくらみ、吐き気などの症状が起こることもあるため注意が必要です。筋トレ前には、2~3時間前に軽く食事を済ませるか、バナナやヨーグルト、スポーツドリンクなどでエネルギーを補給しておくと安心です。
十分な栄養補給を行うことで、トレーニング中の集中力を保ち、怪我のリスクを減らしながら筋肉を効果的に鍛えられます。
水分補給をしっかり行う
運動前、運動中、運動後に3〜4口ずつ水分を摂ることで、血液の循環がスムーズになり、筋肉のパフォーマンスを維持できます。
特に汗をかきやすい場合は、スポーツドリンクや経口補水液を活用して塩分も補給すると安心です。また、運動環境にも気を配り、風通しの良い場所で休憩を挟みながら行うことが脱水予防に役立ちます。
水分補給を怠らず、体調管理を意識しながらトレーニングすることが安全かつ効果的です。
長期的にみる
また、長期的に運動習慣を身につけることで、生活の質や健康寿命を向上させることにもつながります。習慣化を意識して、焦らず無理のない範囲で筋トレを続けることが重要です。
まとめ
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