どうして体力づくりが大切なの?

文部科学省が公表している「令和5年度体力・運動能力調査」によると、体力・運動能力の加齢に伴う変化の傾向は、男女ともに6歳から向上し、女性は中学生年代ごろ、男性は高校生年代ごろにピークを迎えるとされています。
また、ほとんどの調査項目において、男女ともにピーク期以降は、加齢に伴い緩やかに体力水準が低下する傾向にあります。

そのため、体力づくりを意識せずに年齢を重ねると、体力が衰え、疲れやすくなったり病気にかかりやすくなったりする可能性が高まるのです。さらに、体力が低下すると、筋力の低下や関節の痛み、肥満や生活習慣病の発症などにもつながりやすくなります。
そうしたリスクを軽減するためにも、体力づくりは欠かせないのです。

体力づくりに効果的な2つの運動

体力づくりに効果的な運動には、「有酸素運動」と「無酸素運動」の2種類があり、運動の方法や効果はそれぞれ異なります。

有酸素運動

有酸素運動は、一定の時間継続して筋肉に軽い負荷をかけながら行う運動のことです。酸素を使って筋肉を動かすため、脂肪の燃焼、高血圧予防、心肺機能の向上などに効果的と言われています。
例えば、ウォーキングやランニング、水泳などが有酸素運動として挙げられます。

無酸素運動

無酸素運動は、有酸素運動のように酸素を使って筋肉を動かすのではなく、短時間で筋肉に負荷をかけ、大きな力を発揮する運動のことです。短時間で力を発揮しやすく、短時間で取り組めるのが特徴です。
無酸素運動と言っても、呼吸を止めるのではなく、しっかりと呼吸に合わせて運動することが大切です。
無酸素運動の一例としては、腕立て伏せやスクワットなどが挙げられます。

家でもできる!体力づくりに効果的なトレーニング

ここからは、自宅や室内でも気軽に取り組むことができる体力づくりに効果的なトレーニング方法を紹介します。まずは、ご自身の体力や筋力に合わせて無理のない範囲で取り入れてみてください。

スロースクワット

スクワットはお尻や太もも、ふくらはぎなど、下半身の筋力強化に効果的なトレーニングです。下半身には大きな筋肉があるため、効果的に筋力アップを目指すことができます。
ゆっくりと呼吸を止めずに行うことで、有酸素運動の効果も得られます。

スロースクワットのやり方

  1. 足を肩幅に開き、つま先を時計の「11時5分」に向けて立つ
  2. 背筋を伸ばし、両腕を前に伸ばす
  3. お尻を斜め下へ引きながら、太ももが床と平行になる程度まで腰を下ろす(最初は浅い角度からスタート)
  4. ゆっくりと元の姿勢に戻る(3~5秒かけると効果的)
  5. 1セット8~10回を目安に、慣れてきたら2~3セット繰り返す


できるだけ背筋を伸ばして膝がつま先よりも前に出ないように行うことがポイントです。
最初は無理のない範囲からスタートしましょう。

腿上げ運動

腿上げ運動は、下半身と体幹の強化に効果的なトレーニングです。有酸素運動をしながら筋トレもでき、血流の改善や脂肪燃焼の効果も期待できます。

腿上げ運動のやり方

  1. 壁や椅子などつかまることのできる物の近くにまっすぐ立つ
  2. 腕を前後に振りながら腿を上げて足踏みをする
  3. 腿を上げる際は、膝が90度曲がり腿と床が平行になるように意識する
  4. 30回×2セットを目指して行う


腿を上げる際にバランスを崩しやすいため、バランスに不安のある方は壁や椅子、手すりなどにつかまりながら行うようにしましょう。

段差昇降トレーニング

段差昇降トレーニングは、下半身を強化しながら全身を動かすトレーニングです。呼吸を整えながら行うことで有酸素運動の効果も得られ、血流の改善にも効果的です。

段差昇降トレーニングのやり方

  1. 階段や高さ15~20cm程度の段差を用意する
  2. その場で足踏みをする要領で段差に乗る
  3. 段差から片足ずつ降りる
  4. 20回×3セットを目指して行う


昇り降りの際にバランスを崩しやすいため、バランスに不安がある方は手すりなどにつかまりながら行うようにしましょう。

ドローイン(腹式呼吸)

ドローインは、腹式呼吸を意識しながらお腹をへこませる動きで、寝たまま安全に体幹のインナーマッスルを鍛えられるトレーニングです。腰への負担がほとんどなく、ぽっこりお腹の解消や、姿勢の改善にも効果が期待できます。

ドローインのやり方

  1. 仰向けに寝て、膝を90度くらいに立てる
  2. 両手はリラックスしてお腹の上に置く
  3. 息を大きく吸い込み、お腹を膨らませる
  4. お腹をへこませながら、ゆっくりと時間をかけて息を吐ききる
  5. そのままの状態で10〜30秒キープし、自然な呼吸を続ける
  6. 5回×2セットを目指して行う


息を吐きながら、おへそを背骨に近づけるようなイメージで行うのがポイントです。まずは無理のない秒数から始め、慣れてきたらキープする時間を少しずつ延ばしてみましょう。

体力づくりの効果を高めるための生活習慣

体力づくりをするうえで、ただトレーニングをするだけでなく、生活習慣を整えることも大切です。
ここからは、体力づくりの効果を高めるためのポイントを紹介します。

バランスの良い食事を摂る

体力づくりを行ううえで欠かせないのがバランスの良い食事です。いくらトレーニングを行っても、しっかりと栄養が摂れていないと十分な力が発揮できず、トレーニングの効果も得られにくくなってしまいます。
炭水化物やタンパク質、脂質などの栄養素をバランス良く摂り入れることで、トレーニングの効果も十分に発揮できるでしょう。

質の良い睡眠を取る

運動をして体力を消耗したあとには、しっかりと睡眠を取ることも大切です。十分な睡眠を取っていないと疲れが溜まってしまったり怪我につながったりすることもあります。
また、睡眠時間だけでなく、睡眠の質を整えることも大切です。就寝直前に食事や飲酒はせず、ぐっすりと眠れるような質の良い睡眠を意識することで、疲労回復の効果が高まります。

無理のない範囲から始める

「体力づくりをしよう!」と意気込んで、急に高い目標を立てたり、普段行わない運動を長時間続けたりすると、長続きしないだけでなく怪我にもつながりやすく、逆効果になりかねません。
まずは、ご自身の体力や筋力、体調に合わせた内容からスタートして、慣れてきたら徐々に時間を増やしたり高度な内容にチャレンジしたりするようにしましょう。
無理なく自分に合ったトレーニングをすることが、効果的な体力づくりにつながります。

継続する

体力づくりは、短期間では効果は得られにくく、継続して行うことで少しずつ身についていくものです。短時間でも良いので、できるだけ毎日継続して行うように心がけましょう。
1日のスケジュールの中で体力づくりの時間を決めておくと、習慣化しやすく続けやすいでしょう。

まとめ

日頃から健康に気をつけている方であっても、加齢とともに体力は低下してしまうものです。だからこそ、体力づくりに効果的なトレーニングをコツコツと続けることが大切です。
年齢や筋力、体調に合った内容から始めることで、無理なく継続でき効果を高めることができるでしょう。
また、トレーニングだけでなく、食事や睡眠などの生活習慣を整えることも体力づくりに欠かせません。
まずは生活習慣を見直したうえで、ご自身にあったトレーニングを取り入れ、体力向上や健康維持を目指しましょう!

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